足の裏の痛み 母趾種子骨障害②

今回は母趾種子骨障害の治療について

 

 

保存治療

急性骨折ではキャスト固定などで骨癒合を期待します。

急性骨折以外では足底版や中足骨パッドで徐圧を行い治療します。

 

保存治療でも改善しない場合は手術加療を行うことになります。

 

手術加療には種子骨摘出、観血的整復固定などが挙げられます。

 

スポーツによる種子骨障害が多いので術後のスポーツ復帰率や時期がきになるところですが、昨年『The American Journal of Sports Medicine』に掲載された論文によると

 

母趾種子骨障害で摘出術をおこなったアスリートのうち約80%が4.6ヶ月でスポーツ復帰を果たしたとのことです。

 

以上のことからも保存加療で遷延化する症例には摘出術は1つの良い治療法であると考えます。

 

 

 

今回は母趾種子骨障害の治療についてでした。

 

よろしくお願いします。

 

 

足の裏の痛み 母趾種子骨障害

今回は足の裏の痛み母趾種子骨障害について解説していきます。

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母趾種子骨

母趾種子骨はMTP関節にある種子骨であり、内外側の2つ存在する。

内側種子骨には短母趾屈筋内側と母趾外転筋が付着し、外側種子骨には短母趾屈筋外側と母趾内転筋が付着する。間には長母趾屈筋が通っており、母趾種子骨は母趾底屈のレバーアームとなり、母趾底屈力を増加させている。主な血行は足底動脈弓から起こる第1足底中足動脈から栄養されている。

母趾種子骨はショックアブソーバーの役割も担っており、前足部には歩行時に体重の約3倍の負荷がかかり、種子骨にはその50%の負荷がかかると言われている。

 

 

次に母趾種子骨障害の種類について

 

母趾種子骨障害

  • 疲労骨折
  • 急性骨折
  • 二分種子骨
  • 種子骨炎
  • 骨壊死

 

などが挙げられます。

 

 

疲労骨折

クラシックバレエなど裸足で行うスポーツに多く、さらには長距離のジョギングなど前足部に負荷がかかるスポーツで起きやすい。反復する負荷の蓄積で起こる。

まずは安静などの保存加療を行うが、遷延化する場合は種子骨摘出を選択する場合もある。

 

急性骨折

ジャンプの着地などの直達外力で起こる。疲労骨折と比べると稀である。

 

二分種子骨

二分種子骨は内側に多く7-30%程度にみられると言われている。

骨折との鑑別が難しく、画像所見や問診などで精査する必要がある。

 

種子骨炎

画像所見では異常を認めないもので、軽微な外傷の繰り返しで発症する。

その他の疾患が除外されたのちに判断される。

 

骨壊死

疲労骨折などの外傷を契機に血行が途絶し発症することもある。原因不明のことも少なくない。

 

 

以上母趾種子骨障害についてでした。

 

次回は治療について解説します。

足の裏の痛み 足底腱膜炎②

本日は足底腱膜炎の治療について

 

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保存治療(手術以外の治療)について

 

足底腱膜炎は約90%保存治療で疼痛が改善すると言われています。

 

代表的な保存治療には

  • 薬物治療
  • ストレッチ
  • 体外衝撃波
  • インソール
  • 注射

などが挙げられます。

 

ストレッチ、体外衝撃波、注射に関しては文献での報告もそれなりにありますのでこれらを解説していきます。

 

ストレッチについて

足底腱膜炎は足関節の背屈制限と関連[1]していると言われていますが、特に腓腹筋のタイトネスと関連[2]が指摘されています。

ストレッチに関しては良好な成績が報告されており、よく準備体操で行うようなアキレス腱を伸ばすようなストレッチよりも、足底腱膜を特異的に刺激するストレッチが良いと言われています[3]。足底腱膜に特異的なストレッチを行い2年間追跡した報告では92%が治療に満足する結果を得ており、77%がレクリエーションに制限なしと答えた[4]。

 

以上のことからストレッチに関しては足底腱膜に特異的なものを継続し、腓腹筋のタイトネスを改善するためにそちらのストレッチも追加で行うことが良いと考えています。

 

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足底腱膜ストレッチ 右手で足底腱膜を触れストレッチできていることを確認する。 文献より引用[3]

体外衝撃波について

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STORZ MEDICAL社 デュオリスSD1ウルトラ

体外衝撃波は6カ月以上の保存療法を行なっても改善が得られない難治性の足底腱膜炎に対する治療として2012年より保険適用となっています。皮膚の上から超音波などで部位を確認し機器を当て、衝撃波を与えます。衝撃波に伴う多少の痛みは感じますが、傷などは残りません。作用としては神経終末の変性と神経伝達物質を抑制し疼痛の緩和に作用を及ぼし、各種成長因子や細胞の分化遊走因子の産生を促進することで組織の修復や誘導すると言われています[5.6]。効果としてはプラセボと比較したRCTでも良好な結果を報告しており、成功率は50−60%と言われています[7]。

 

 

 

注射について

 

ステロイド注射に関しては早期の除痛効果は認めますが、長期の効果がみられないこと、脂肪萎縮や腱の断裂の可能性もあり使用は限定的になるかと思います。

 

 

PRP注射

 

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PRPとは多血小板血漿のことであり、自らの血液を採取し濃縮した血小板を疼痛部位に注射する治療です。自費診療であり、基本的には厚生省の認可を受けた施設でしか行うことができません。PRP注射の効果はステロイドと同等かそれ以上とも言われています[8]。しかし、PRPに関しては作成方法も様々であり統一されていないという問題点もあります。今後さらなる研究が期待されます。

また最近では腓腹筋に筋弛緩作用のあるボツリヌス毒素を注射し、プラセボと比較し良好な結果が得られたとの報告もあります。この治療も保険適用ではないので今後の研究が期待されます。

 

 

 

 

 

 

以上足底腱膜炎に対する治療を文献とともに解説しました。

 

 

 

 

宜しくお願いします。

 

 

 

 

 

 

  1. Riddle DL, et al. Risk factors for plantar fasciitis: a matched case-control study. JBJS. 2003

  2. Nakale N.T, et al. Association between plantar fasciitis and isolated gastrocnemius tightness. Foot Ankle Int. 2018

  3. DiGiovanni BF, et al.Tissue-specific plantar fascia-stretching exercise enhances outcomes in patients with chronic heel pain: a prospective, randomized study. JBJS. 2003.

  4. DiGiovanni BF, et alPlantar fascia-specific stretching exercise improves outcomes in patients with chronic plantar fasciitis. A prospective clinical trial with two-year follow-up. JBJS. 2006.

  5. Wang CJ et al. Shock wave therapy induces neovascularization at the tendon-bone junction. A study of rabbits. J Orthop Res. 2003

  6. Han SH et al. Effect of extracorporeal shock wave therapy on cultured tenocytes. Foot Ankle Int. 2008

  7. Gollwitzer H, et al. Clinically relevant effectiveness of focused extracorporeal shock wave therapy in the treatment of chronic plantar fasciitis: A randomized, controlled multicenter study. JBJS 2015

  8. Jain SK, et.al. Comparison of Plantar Fasciitis Injected With Platelet-Rich Plasma vs Corticosteroids. Foot Ankle Int. 2018

  9. Abbasian M, et al. Outcomes of Ultrasound-Guided Gastrocnemius Injection With Botulinum Toxin for Chronic Plantar Fasciitis. Foot Ankle Int. 2020

足の裏の痛み 足底腱膜炎①

足の裏が痛くて困ることあると思います。足底痛の原因は様々ですがその一つに足底腱膜炎と言うものがあります。今日は足底腱膜炎について解説します。

 

 

 

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足底腱膜とは

踵骨隆起の内側突起から起こり、MTP関節を越えて各足趾の基節骨底面に停止しており、足アーチの保持に重要な役割を果たしているとされています。

MTP 関節の背屈により足底筋膜の緊張が高まり、縦アーチが増加する現象がみられます。

(windlass mechanism)

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足の臨床 改訂3版より引用

 

 

足底腱膜炎とは

 

足底腱膜へのストレスが過剰になると、同部に変性が起こり、症状が発現すると言われています。病態としては、足底腱膜は踵部接地の際の衝撃を吸収し,足の安定化に大きく寄与している組織です。ランニング・ジャンプなどの動作の繰り返しにより足底腱膜の踵骨付着部に牽引力と荷重による圧力が積み重なり、これらのストレスが過剰になると、同部に変性が起こり症状が発現します。よって、スポーツでは長距離のジョギングなどで発症することが多く、スポーツ以外では長時間の立ち仕事などの過負荷でも発症することもあります。また、足関節の背屈が硬いことも要因の一つです。

足底腱膜炎は、単純な炎症ではなく,足底腱膜自体の変性が踵部痛の出現に関与していることが知られており、消炎鎮痛剤が著効しない場面もあるとされています。

症状としては1歩目の疼痛が有名です。

 

診断:

踵骨隆起内側突起部の圧痛、足関節背屈位で母趾を背屈強制することでの疼痛誘発(Windlass test)が知られています。

単純X線所見では踵骨骨棘を認めることもありますが、無症状例でも約19%に骨棘を認めることもあります。

最近の報告では踵骨骨棘は足底腱膜炎の踵骨部痛の発症に有意に関連することが明らかとなっています。
これらのことから踵骨骨棘は診断の根拠とはなりませんが、疼痛の発症因子となり得ることがわかります。


最近では超音波検査も行われており、足底腱膜の肥厚を認めることもあります。変性による疼痛がメインであるので炎症が少なければ、カラードプラで血流の増加を認めることは少ないです。

 


以上足底腱膜炎の原因ー診断です。

 

 

 

次回は治療なども含め説明していきます。

 

 

今後整形外科関連のおすすめの教科書なども紹介していきます。

 

 

 

宜しくお願い致します。

資産形成 コア、サテライト投資

今日は自分が行っている資産形成について

 

いろいろな本やブログを見ながら数年前からインデックスファンドの積み立て投資を始めました。

そして徐々に飽きてきたので1年ほど前から個別株をスタートしました。

 

インデックスファンドに関しては数年前から積み立てを始めていることもあり、現在約20−50%程のプラスで推移しています。

 

個別株に関しては最初は調子良く2倍株などを引き当て徐々に資産を拡大したのですが、ここ数ヶ月の下げ相場でかなり損を出しました。。。

ここ最近は日経平均も上昇しており、徐々に復活しています。

 

最近読んだ本で納得いった内容が

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の中に書いてありました。

 

コア、サテライト投資です。

 

要するにコア(守り) サテライト(攻め)です。

 

『コア投資とは』

基本的にはこちらをメインとして行います。

世界株式など分散されたETF投資信託などを使い徐々に資産を拡大していく作戦です。

 

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このようにここ10年をみてもリーマンショックやコロナショックで下げる時はありますが、しっかりと世界経済は成長しています。

 

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リーマンショックの時期は戻るまで数年かかったので始める時期によって、成績には差は出ますが、過去の動向を見ていると辞めずに続ければどこかで回復して増えていくはずです。

 

 

 

債権なども組み合わせたバランスファンドでも問題ないとは思いますが、自分は

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

を現在積み立てています。

最初はS&P500に連動するものなどなどいろいろ買ってみました。。。。

 

このファンドはMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに連動したものです。内容としては先進国23か国と新興国26か国の49か国の大型株と中型株で構成される株価指数です。全世界といっても60%以上はアメリカです。

ちなみにVTIは小型株も含みますので同じ全世界株ですが少し内容が異なります。

 

ETFではなく投資信託で積み立てている理由は、一度設定すれば簡単に自動積み立てできること、ドルの管理が面倒なこと、2重課税の問題分配金も自動投資され複利効果が得られることが挙げられます。

 

デメリットとしては指値で購入できないのでコロナショックなどで下がった時にすぐに購入できないことなどでしょうか。

 

信託報酬も年率0.1144%と安いのでETFと比較しても大差はないです。

 

これが自分の考えるコア投資です。

 

 

 

『サテライト投資とは』

これは攻めの投資なのでハイリスクですがハイリターンを狙います。

個別株、レバレッジETF、仮想通貨などが当てはまるのでしょうか。

 

自分もそうでしたが、インデックスの積み立てでは飽きる可能性が高いです。

サテライト投資は投資を楽しむための目的もあるので余剰資金の中のさらに余剰資金でやる

方が良いでしょう。

 

 

以前は短期投資でやろうと思っていましたが、うまくいったりいかなかったりなので、

自分なりにファンダメンタルを分析し現在は日本株で小型グロース株に中長期に投資しています。

いつかはテンバガーを達成してみたいです。。。

 

 

 

以上、資産形成(コア、サテライト投資)でした。

 

 

 

最後に、株式投資はリスクはありますので、投資は余剰資金で自己責任でお願いします。

 

 

 

 

腰痛について②

前回は腰痛の種類について説明させて頂きました。

 

今回はその続きをガイドラインに沿って説明していきます。

 

 

腰痛と生活習慣

  • 体重に関しては、標準(BMI 18.5〜25.0)より低体重あるいは肥満のいずれでも腰痛発症のリスクと弱い関連が認められ、健康的な体重の管理が腰痛の予防には好ましい。
  • 喫煙と飲酒は腰痛発症のリスクや有病率との関連が指摘されている。
  • 普段運動していない群に腰痛発症リスクは増大する。
  • また、職場などにおける心理社会的因子は腰痛発症や予後に関連する。

 

これらをまとめると

腰痛の予防には健康的な生活習慣と穏やかでストレスの少ない生活が推奨されることになります。

現代社会では難しいところもあるかもしれませんが、適度な運動をしてストレスを解消することは大事なようです。

 

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腰痛の治療について

 

まず安静にするべきか動いた方が良いのかです。

急性腰痛いわゆるぎっくり腰ですが、ベット上安静よりも活動性維持の方が良いと言われております。

米国内科学会のガイドラインでも急性慢性問わず、活動性を維持するように指導すべきと記載されています。

 

しかし、これら全て強く推奨されているものではないので患者個々の状態に応じて考えるべきだと思います。

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薬物治療に関して

 

薬物治療に関しては基本的には推奨されており、薬剤によってその推奨度は様々です。

例えば、急性腰痛に関してはNSAIDs慢性腰痛に関してはNSAIDs、セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬、弱オピオイドが推奨されています。

 

また、物理療法ですが、牽引治療、超音波治療、温熱治療に関しても質の高い研究は少なく、弱く推奨されています。

 

運動療法(リハビリテーション)に関しては慢性腰痛には推奨されているようですが、急性腰痛に対してはまだ明確なことがわかっていないようです。

 

 

注射療法に関しては個々の病態に応じた、椎間板内、硬膜外、神経根ブロックなどの注射に関しては弱く推奨されています。しかしトリガーポイント注射(筋肉注射)に関しては研究が少なく、推奨されていません。

 

 

 

以上腰痛の治療に関してでした。

国民病とも言われている腰痛について

腰痛を有する方は非常に多く、40 歳以上の約 2,800 万人が腰痛を自覚していると言われています。

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このように国民病とされている腰痛ですが、デスクワークの方や、重労働の方など多くの方が経験したことがあると思います。

 

腰痛を発症し接骨院や病院を受診しても特に原因がわからず、マッサージ、電気治療、薬剤治療で対処する方もいらっしゃるはずです。

腰痛にも様々な原因があり、実際正確な診断が付けられないものも存在します。

今回は腰痛の種類について簡単に説明します。

 

 

以下、日本整形外科学会、腰痛学会が監修している腰痛ガイドライン2019にそって説明します。

 

一概に腰痛と言っても原因は様々で、椎間板、椎間関節、神経根椎骨骨膜、筋・筋膜、靱帯、血管など様々な疾患、外傷によって、これらの組織が傷害され腰痛を引き起こします。

 

このように様々な原因で発症する腰痛ですが、病態や治療法という観点からは大きく二つに大別されます。
 

まず一つが、診断法が確立し,病態に対応した治療法が存在している疾患であり、脊椎腫瘍、椎間板ヘルニア、尿路結石などが当てはまります。


もう一つは疾患の診断と治療が確立していない疾患、症候群であります。これは診断、治療いずれも不十分な手法しかなく、医療者誰もが納得する共通の診断、治療法がないものが当てはまります。

これらには、筋、筋膜性や椎間板性、椎間関節性、心因性腰痛などが該当し、非特異的腰痛と言われています。

 

以前の報告では腰痛の85%は診断がつかない非特異的腰痛と言われてきましたが、 近年非特異的腰痛の割合は徐々に減少しているようです。

 

今後の研究によって徐々に診断法が確立すれば非特異的腰痛の割合もさらに減るでしょう。

 

今回は腰痛の種類について簡単に説明させて頂きました。

 

次回も腰痛についてガイドラインに沿って解説していきます。